Tuesday, October 14, 2014

慣れないこと Not getting used to

 
 
こちらの大都会に引っ越した高校の時からの友人が、
「人の怒鳴り声にも、パトカーのサイレンにも、銃声にだって
いつも聞こえてりゃ慣れるもんよ~」って言っていました。
 
最初の頃は怖くてどうしても立ち止まって
音のする方向を振り返って見てしまっていたのが、
今では少々のことでは顔をあげることもなく
ただその音からなるべく遠ざかるように歩くだけになったそうです。
 
「どうしようもないことには慣れたもん勝ちよね。
ビクビクしてても仕方ないし。
慣れなきゃやってられないって」
 
 
私たちが去年の夏引っ越してきたこの田舎では
狩猟の時期以外は銃声が響くことはないようですが、
やっぱり今までと勝手が違うこともあって、
案外抵抗なくあっさり慣れてしまったこと、
早く慣れてしまいたいこと、いろいろです。
 
 
ずい分前だけど、
初めて野生の鹿の群れを見たときは感動したな~
 
夜遅く運転して家に向かう途中、
突然鹿が1頭車の真ん前を横切って、
慌てて停まりました。

あっという間に次から次へと
10頭くらい順番に道路に飛び出し
一瞬だけ立ち止まってまっすぐこちらを見つめる鹿たち。
 
最後の一頭が
ヘッドライトに照らし出されて
次の瞬間また反対側の暗い茂みに消えたとき
初めて自分がずっと息を止めていたことに気づきました。 笑

その他にもアライグマや七面鳥の家族、
空をVの字になって横切る雁の群れ、
交差点のすぐ脇に穴を掘って住んでいるアナグマ、
朝霧の中のキツネ。
 
たくさんの動物を今住む場所でも見かけます。
 
見慣れた?って聞かれればそうかも知れないけど、
やっぱり運転中なら停めて眺めることもあるし、
仕事していたら手を休めて
未だに無意識に息を殺して
あの時と同じように
鹿の最後の一頭が見えなくなるまで見てしまいます。
 
 
 
今日見た鹿は3頭。
 
ちょっと大きく成長した子鹿も一頭いましたよ。
体は大人とそう変わらないくらいだけど、
遊び半分でふらふらしているのでまだ赤ちゃんだってすぐわかります。
 
2頭の大人はすぐに私たちに気づいて
ピッと耳を立ててこちらをうかがっていました。
 
一緒にいた息子たちも
じっと息を潜めて
鹿たちが安心してまた草を食べ始め、
それが終わって、自分たちの高さの倍もある柵を軽々と飛び越えて森に帰っていくまで
ずっと動くことはありませんでした。
 
この緊張感、
一瞬の感動がなくなるくらいなら。
 
いつまでも慣れたくないことっていうのもあるんだな~

シカゴはきっとずいぶん寒くなったことでしょう。
遠く離れた摩天楼の下を夕暮れの人ごみに紛れながら
今日もさっそうと歩いているかも知れない古い友人のことを
ちょっと思い出しました。

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